利用者(独居男性/要支援2)
『私は、ヘルパーさんに来てもらって家事をお願いしたいんだけれど、今の事業所は、私も一緒に家事をやれと言うんだ。今まで家事なんかやったことのない私に今更なんで・・・。そちらの事業所はヘルパーさんが家事を全部やってくれますか?』
これはつい先日、既に他社で指定訪問介護サービスをご利用のお客様から、当社にお問合せいただいた会話の一部です。
介護保険をご利用いただいている方々やそのご家族にとっても、サービスを提供している事業者にとっても、耳にしたことがある内容ではないでしょうか。
事業所の電話対応が悪いなど、明らかに事業者に問題があるものを除いたケースに絞って言うと、これは取りも直さず、ご利用者が介護保険制度やサービス提供事業者に対して求めるサービスと、提供事業者から実際に提供されるサービスとの違い、いわゆる「期待値のズレ」からくるものだと思います。
では、どうしてこういう事態が起きてしまうのでしょう。
実際はいろいろなことが複合的に絡み合ってのことだと思われますが、ここでは、指定訪問介護の事業所運営に携わっている私自身が、介護保険の指定サービス事業者が、制度運用の中で特に行政からどんな指導をいただき、どんな点に注意しながらサービスを提供しているのかをご紹介していきたいと思います。
これにより、サービスをご利用いただく方々やそのご家族の「何故?」という事業者への不信感(ズレ)が少しでも解消され、ご利用者と事業者(担当ヘルパーも含め)間のより良い関係の構築やサービスの継続性が図れればと思います。
また、サービスに対する共通の理解を深めることにつながれば幸いです。
さて、簡単ではありますが、今回はもっとも事業者がサービス提供に当たって注意を払っている『適正な給付(サービス提供)』について触れてみたいと思います。
『適正な給付(サービス提供)』とは、その利用者にとって必要性、効果が見込めるサービスを提供するということで、したがって、必要性のない、効果の見込めないサービスは介護保険では提供できないということになります。
下記は必要性をはかる目安のひとつ、「要介護度別の状態像の例」を参考までに掲載いたしました。
実際には同じ要介護度の方でも状態が異なることから、各利用者の身体状況等を把握し、サービスの内容や量などの必要性を決定いたします。
しかし、現在の要介護度が適正であれば状態像に大きなぶれがないものと思われます。