【介護保険制度の動向と保険外サービス】
介護サービス事業の経営の安定化・効率化や介護労働者の処遇など、課題となっている問題について検討してきたワーキングチームの報告を受け(平成20年2月)、社会保障審議会介護給付費分科会において、さらに実現に向けて検討を重ねることになります。
その中には、生活援助利用を中心にますます厳しくなっている訪問介護についても、介護保険が担うべき役割を考慮しつつ、「訪問介護における生活援助の範囲の在り方」や「介護保険サービスと相対契約による付加的なサービスの組み合わせの在り方」についても今後の検討課題の1つとして上がってきています。
介護予防導入後、利用者に接することの多いヘルパーさんやサービス提供責任者、ケアマネージャーなどは、自らの行為等に起因する苦情ではなく、制度に対する不満・苦情に特に悩まされ続けています。彼らは『利用者一人一人のライフスタイル・希望に沿ったサービスを提案できるようになれば、本来の業務に専念できるようになるのではないか』と、希望を持ちつつ注目しています。
【保険外サービス取扱いについてのポイント整理】
とは言ったものの、現場では今も利用者から様々な要求・要望が挙がっています。利用者の希望や尊厳、自立した生活を続けてもらうにはどうしたら良いのか、適正サービスとしてはどうなのかなどを悩みに悩んで考えた挙句、保険サービスに加え保険給付にならないサービス(=保険外サービス)も含めて提供しているケースが少なくないといわれています(保険外サービスの取り扱いが良く分からないままにサービス提供が行われることもあります)。
前回お伝えした「第3回 保険外サービスを取り扱うときに(1) ~ 整備が必要とされるもの ~」では、サービス取扱いに関する「法令通知等」についてご紹介いたしました。今回は、法令通知等そのものではわかりにくいので、取扱うときのポイントを整理してみました。
≪保険外サービスを取扱う場合の整備すべきポイントのまとめ≫
◆利用者と事業者との間の契約に基づいていること
◆保険給付対象サービス(指定訪問介護)と明確に区分されていること
◆指定訪問介護の事業とは別事業で、介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明、理解を得ること
◆指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定める(当該事業の目的、運営方針、利用料金等)
◆保険利用契約とは別契約 (指定訪問介護利用契約書とは別に 契約書を作成)
◆自由設定(保険の報酬額とは別な料金設定可能)
◆保険給付の範囲外のサービス(保険で行われないサービス内容)であること
◆会計が指定訪問介護の事業とは区分されていること(営利法人では消費税の対象)
◆保険利用者の場合は居宅介護支援事業者と連携
【“自費サービス”は“保険外サービス”だけではない】
また、“法定代理受領サービスでない指定訪問介護”も自費扱いとなり、保険外サービスと明確に区分されないままに取扱われていることが多く、行政指導を受けてしまったケースも見受けられます。この2つのサービスは、利用料の自費扱いを除けば、運用面での違いが多く見られるので、主な点を整理してみました。
≪「法定代理受領サービスでない訪問介護」と「保険外サービス」の比較表≫
法定代理受領サービスでない指定訪問介護 | 保険給付の範囲外のサービス | |
利用契約 | 保険利用契約(重要事項説明書を確認) | 保険利用契約とは別利用契約を作成・締結 |
利用料金 | 現在の指導は、介護報酬額と同額 | 自由に設定 |
サービス内容 | 保険給付の対象となる内容 | 保険給付の対象とならない内容 |
会計処理 | 保険報酬の勘定科目 | 保険はと別勘定科目 営利法人消費税対象 |
運営規程 | 保険サービスの運営規程 | 保険サービスの運営規程とは別規程を作成 |
定款の事業目的 | 指定訪問介護事業 | 左記では不備 (事業内容に沿った目的を) |
賠償保険 | 指定訪問介護事業所の加入保険適用範囲 | 保険会社に事業内容を明示し相談必要 |
要支援者 | ― | 保険者の対応確認 (概ね、保険サービス提供日外) |
非該当者 | ― | 自由に設定 |