平成21年度の制度改正は介護報酬改定が中心で、新規の加算報酬が創設されたことについてはよくご存じでしょう。おそらく、皆さんの事業所でも既にいくつかの算定事例をお持ちのことと思います。
しかし、加算報酬もまた通常の指定訪問介護費と同様、算定事例のみを捉えて報酬がいただけるというものではありません。必要な事務処理等(準備・整備)が行われていることも、重要な当該報酬算定のための要件のひとつですが、理解不足から残念ながら十分な整備がなされていないといったケースが多いように思えます。前回より必要な事務処理等(加算報酬の返還事例をつくらない)について掲載させていただいていますが、前回のコラムでは、加算報酬算定事例が発生する前に準備・整備(事務処理等)しておかなければならないこととして、
☞ 運営規程の変更を 今回の改定により、利用者がサービスの選択に資すると思われる重要事項(指定訪問介護の内容や利用料、勤務体制等)に変更が生じたので、変更内容を盛り込んだ規程に作り直しを行います。 ☞ 変更内容を明示した書類(契約書の重要事項説明書)を作成し、事前に利用者への説明・同意 その都度、利用者から同意を必要とするものではないが、居宅サービス基準第8条に基づき、事前にそれぞれの新規加算(新規に特定事業所加算を取得する場合も含む)の算定要件及び趣旨について、当該変更内容を盛り込んだ重要事項説明書(或いは、重要事項説明書以外で変更内容を明示した書類)等により利用者に説明し、同意を得ます。 |
を掲載させていただいたところですが、今回は、加算報酬算定されるような事例が発生したときに行わなければならない記録等(事務処理)について2回にわたってお知らせしたいと思います。そして、その1回目として新規加算の1つ、「緊急時訪問介護加算」の内容について掲載してみました。
事務処理等
【事務処理】 ① 要請のあった時間、内容、当該訪問介護の提供時刻及び緊急時訪問介護加算の算定対象である旨等を記録する。 【注意事項】 ① 行った訪問介護の内容が、単なる安否確認や健康チェック等の場合は訪問介護費の算定対象とならない。したがって、当該加算算定の対象にもならない。 |
加算報酬算定のための要件等の確認シート並びに必要な記録書
当該加算報酬を算定するための事務処理(記録等)や要件が十分満たされているか、事例毎に法令通知等としっかり照らし合わせ確認するとともに、その結果としての適切な判断が必要とされます。
特に、緊急時訪問介護加算の様に算定要件等が細かく、確認事項が欠落しそうなときは、次のような書式を作成し、書類の項目を埋めることにより、算定要件の確認、必要な記録内容や事務処理等の欠落防止(当然、上記【事務処理】の①の加算の算定対象である旨の記録として使用できます。)、そして、当該報酬の算定についての適切な判断が比較的容易にできるようになりますので、皆さんの事業所でも試してみてください。
ケアマネが給付管理するために必要な情報の提供
上記記録書は、当該加算算定した際、給付管理するために必要な情報が十分載っています。この記録書を担当ケアマネへの情報提供用として利用することもできます。この書式で情報をいただいたケアマネは、安心して給付管理ができると思います。