■読書―仕事に活きる様々なメリット
―「ファーストケアまちや」ではどのようなサービスを行っているのでしょうか?
田中さん:私たちの事業所では、高齢者の居宅介護支援、訪問介護のほか、現在は障害者(児)の自立支援なども行っています。もともとは看護師家政婦紹介所として昭和46年に開業、現在のような訪問介護・居宅介護支援事業を行うようになったのは平成12年からです。
▲ミーティング中の田中さん。分かりやすいように身振りも加えてスタッフに情報を伝達。
―こちらの事業所にはどのくらいのスタッフが在籍しているのでしょうか?
田中さん:登録スタッフはフランチャイズを含め約40名、常勤スタッフはケアマネージャーを含めて10名程度です。業界的に、教育機関を持っている大手や施設を除けば、在宅介護に携わる人たちの平均年齢は高いと思いますが、うちのスタッフの平均年齢はそれよりも高めです。でも、みんなとっても前向きで勤勉、そしてパワフルです。登録スタッフは基本的に直行直帰なので毎日事業所に来ることはありませんが、報告書提出とコミュニケーション不足解消を兼ね、最低でも週に1回は事業所に顔を出してもらうようにしています。
―訪問の範囲は?
田中さん:事業所のある浦和区以外にも周囲の区、お隣の蕨市くらいまでは訪問に伺います。自転車で動ける範囲なら自転車、それが難しければ車と、訪問先への距離によって移動手段を変えるようにしています。
―田中さんは1日にどのくらいご利用者宅を訪問なさるんですか?
田中さん:1日1件、多い時には1日2件から3件ほど訪問しています。以前はもう少し多く利用者宅を訪問していましたが、管理者になってからはぐっと減りました。立場的に、何かがあればすぐに現場に駆けつけなくてはなりませんし、ヘルパーの急なお休みなどにも対応しなくてはなりませんからね。最近は、緊急事態が発生しない限り、事務所にいるようにしています。でも、お盆やお正月などの時期は休みを取るヘルパーが多いので、常勤スタッフが交代でその補充をするので出ずっぱりになってしまいますね。
―お正月もお盆もお仕事なんですか?
田中さん:もちろん(笑)。たとえ世間がお休みだったとしても、介護にお休みはありませんからね。私の場合、休みの日であっても1時間くらいはどこかで何かの仕事をしているので、終日お休みになるということは少ないですね。だから、時間を見つけて上手にリフレッシュしています。
▲事務作業を行う田中さん。
―趣味は読書だそうですが・・・。
田中さん:ええ。なかなか時間がなくて大作を読むのは難しいんですが、時間をみつけては読んでいます。先日のリフレッシュ休暇の際も、読書三昧でした。
―お好きなジャンルは?
田中さん:特にコレと決めてはいません。面白いものなら、ジャンルを問わず何でも読みますよ。そして自分で読んでみて面白かったら、職場の仲間にも薦めちゃいます。もちろん、無理強いはしませんけどね。読書には仕事に役立つ様々なメリットがありますからね。事業所の若いスタッフには「本を読もう!」と良く言います。
本を読むと知識が増え、話題が豊富になり、視野も広がります。その結果、ひとつの出来事を多角的かつ立体的に捉えることができるようになります。洞察力が養われる、と言えばいいでしょうか。それが自然と仕事に活きてくるんですよ。
▲仕事の必需品、田中さん愛用の携帯電話。
―読書が仕事のプラスになるんですか?
田中さん:色々なシーンでそう思いますね。介護の仕事にコミュニケーションは欠かせませんが、利用者やそのご家族とは年齢や性別も違いますし、なかなか共通の話題をみつけにくいものです。でも、本なら手軽に共通点を持つことができます。たった1冊の本がコミュニケーションを円滑にし、黙り込む利用者さんとの会話の糸口になったり、利用者さんのご家族と繋がるキッカケになったりしますからね。それに、私たちは仕事柄、日常的に記録などで文章を書かなくてはならないので、良い文章を読んで語彙力と文章力を鍛えておくといいですよね。
記録や報告書というのは自分の伝えたいことを相手にきちんと伝えるための手段です。だから、日本語として意味が通じない記録やYESともNOともとれる表現を使った文章、読み手が10人いれば10通りの意味や解釈が生まれてしまうような報告書など、読み手に的確な情報を伝えられないようではまるで意味がありません。正しい日本語を使って順序立ててより簡潔に、分かりやすくまとめることを学ぶためにも、日頃から様々な文章に触れておくといいでしょうね。
読書には、まだまだメリットがあります。難しいものを読む必要はないので、自分の興味のあるジャンルの中から気軽にチャレンジしてみて欲しいですね。