■ヘルパーは天職。どこか運命めいたものを感じています。
▲事務所には沢山のひとが訪れている。
―田村さんがヘルパーを始めたキッカケについて教えてください。
田村さん:家族の介護を経験したことですね。初めは実母、それから主人の両親が病気で倒れて寝たきりになってしまったので、身体介護も含めての看病をしていました。
家族の介護は大変でしたけど私は常に動いていたいタイプなので、いったん介護が終了すると自分の手をもてあますことに。そこで何かできることはないかなと思って探していたところ、三鷹市シルバー人材センターに資格を取れるシステムがあることを知りました。そこでヘルパー2級を取得して以来、4年ほど務めさせていただいています。
―ヘルパーになると決意してからの資格取得は順調でしたか?
田村さん:それが、ヘルパー2級を取得するときのヘルパー講習初日が偶然にも義父のお葬式で、その関係上、受講を延期することになってしまったんですよ。
だけど日が重なったことで、なんだか義父が「がんばれよ」と背中を押してくれたように思えて、この仕事には運命めいたものを感じています。
自分がお節介な性格というのもあるんですけど、ときどきヘルパーが私の天職じゃないかなあと錯覚することさえありますね(笑)。そのくらい、この仕事にハマっているといっていいかもしれません。
▲この日はあいにくの雨模様。カッパ着用で移動する田村さん。
―「三鷹市シルバー人材センター」の介護保険事業では生活援助が主な業務になるとのお話でしたが、生活援助ならではの苦労点はありますか?
田村さん:苦労というか、利用者さんに肩を噛まれたことがあります。寝たきりの利用者さんの場合、褥瘡(じょくそう)を防止するため、訪問した際にはなるべく車椅子に乗っていただくようにしているんですね。利用者さんによっては関節が固まってしまっているので、起こそうとすると痛がるんです。抱きかかえて起こそうとするたび体に痛みが走るようで、利用者さんは痛みのあまり私の肩を噛んできました。その後は噛まれても大丈夫なよう肩にハンドタオルをしのばせましたが、肩を噛まれた痛みと同じくらい、利用者さんの体も痛かったのかもしれないと思うと、複雑な気持ちになりましたね。
それから自費が発生しやすい通院介助は、民間ではなかなか行いにくいサポートだと思います。
遠くの病院に行く場合は、バスや電車の乗り換えや、徒歩での移動に時間がかかります。利用者さんの体への負担を考え、適度な休憩を入れることやゆっくり歩くことに気をつけ、その方のペースに合わせて移動しています。
5分おきにトイレに行きたくなってしまう方の場合は、病院に到着するまで、途中のコンビニで借りたり公園に立ち寄ったりするのですが、トイレを探してさしあげるのがひと苦労ですね。
―ケアにあたる際、田村さんが心がけていることはありますか?
田村さん:利用者さんによって状況は様々ですから、臨機応変にきめ細やかな対応をいつも心がけています。それに、常に笑顔で元気よく振舞うことですね。ヘルパーが元気ないと、利用者さんに対して失礼だと思うんです。だから、私は毎朝自分の顔を鏡で見て、調子をチェックするようにしていますよ。そうして元気に振舞うことで利用者さんが元気になってくださると、私も嬉しいです。