■「信頼関係」を大切にしながら、「職業意識」の高さを持ち続けたいです。
▲ガイドヘルパーとして通院介助中の梅津さん。
―まずは、こちらの事業所の特長を教えていただけますか?
梅津さん:私たちの事業所は小学生から100歳を超える方まで、幅広い年齢層の方にサービスをご利用いただいています。障害を持たれている方へのケアや高齢の方の訪問介護などを行っていて、全体の3割ほどが障害者のケアとなっています。
―障害者のケアとは、どういったサービスが行われているのでしょうか?
梅津さん:たとえば、小学生の利用者さんだと、お母さんの休憩時間を作るために利用者さんである子どもさんと家の中で過ごすというような室内での「見守り」の支援を行ったり、社会性の体験を目的として近隣の公共施設へ出かけたりします。
―ガイドヘルパーのお仕事について、詳しく教えてください。
梅津さん:ガイドヘルパーは目的地まで安全にガイドさせていただくことが、主なケアの内容です。 視覚障害を持っていらっしゃる利用者さんの通院介助や外出介助を行わせていただいています。公共機関や金融機関での用事や買い物のほかにも、パソコン教室や手芸教室、お花見や美術館などに出かけるなど、趣味を楽しまれている方に同行することが多いですね。
▲日常会話をしながら、バスを待つ2人。
―どういった点に気をつけて、ガイドヘルパーの業務にあたっているのですか?
梅津さん:利用者さんは外出される際、「音や匂い」「温度や触感」などから敏感に 状況を察知しているので、さらに情景をイメージしていただけるようガイドしていま す。しかし、言葉で表現するのが難しい場面に出くわすこともあるんです。たとえば 富士山が大きく見えていることを伝えようとしたとき、「5センチ」と数字で説明し ても利用者さんには想像していただけません。そんなときは、もし目の前の風景を立 体的な写真にして触っていただけたら、もっとわかっていただけるのだろうなぁ…と 伝えきれない自分にもどかしさを感じもしますね。
それから最も大事なのは、ガイドをするときは利用者さんのそばに寄り添い、障害物を避けて事故のないよう安全に誘導することです。この「誘導」にはガイドとしての技術だけでなく、お互いの信頼関係がとても重要です。急遽、初めての利用者さんをガイドすることもあるので、早めにコミュニケーションを深めて利用者さんと打ち解け、信頼していただけるようにしています。
>▲利用者さんの代わりに、郵便物を受け取る。
―信頼関係が大切なのは、訪問介護などのケアでも一緒ですよね。
梅津さん:はい。私が以前に訪問していた94歳の利用者さんは、私たちの提案する介護を受け入れていただくまでに、とても時間がかかりました。だけど訪問を重ねて利用者さんの人生経験や歴史を伺っていくうちに、お互いの気持ちが徐々に通じ合えた気がしたんですよね。ありのままを受け入れることで、利用者さんとの信頼が築けるんだと思いました。
また信頼関係が大切なのはもちろんですが、利用者さんの生活に身近で接するヘルパーの立場だと馴れ合いの関係になってしまうことも考えられるので、職業意識の高さをもって仕事に臨む必要があると思っています。お互いの距離感を図る目を大切にしていきたいですね。