■何かを育てることは、生きがいに繋がるんですね。
▲デイサービスでの様子。この日の催し物は「買いものツアー」だ。
―こちらの施設では、さまざまなサービスがあるようですね。
森川さん:私たちの施設には、高齢者賃貸住宅とデイサービス、ヘルパーステーション、ナースステーションがあります。24時間スタッフがいるので、夜中の緊急時でも対応できるようになっています。入居者さんの中で介護の必要な方にはケアプランを作成し、訪問介護のサービスをさせていただいております。
―入居されている方は、この辺りの地域ご出身の方が多いのでしょうか?
森川さん:そうでもないんですよ。茨城県内の地元の方よりも他県から来られている方のほうが多いです。東京から来られている方や、遠くは九州からという方もいらっしゃいます。
▲キューバの民族楽器・コンガを叩く森川さん(写真左から1番目)。入居者さんの指導により始めたのがキッカケだそう。
―入居されている方に喜ばれているサービスというのは何でしょう?
森川さん:まず、デイサービスが身近にあるということですね。入居者さんの住宅とデイサービスの建物が隣接しているので、送迎の車を待たずに利用できます。デイサービスでは利用者さんに喜んでいただけるようにと、常にお買い物ツアーなどのお楽しみイベントを企画しています。時には浅草や築地のような遠方に足を伸ばすこともありますし、今月は県内のツツジを見に行く予定もあります。
毎週日曜に行われる館内のレクリエーションでは、カラオケ大会が行われて、私もコンガを叩いていますよ。リズミカルな音楽だと利用者さんもウキウキするみたいで、喜んでいただけています。
あとは家庭菜園での土いじりも楽しみのひとつですね。
▲たくさんの緑の中に目をやると、きゅうりやナスなど夏野菜がスクスクと元気に育ち始めている様子が伺える。
―家庭菜園では、どんなものを育てているのですか?
森川さん:花のほかには、かぼちゃやナス、きゅうりなどの野菜がほとんどです。できた初物のお野菜は、調理の方が入居者さんのお食事のメニューに取り入れてくださいます。トマトは食べ頃になると、それぞれの実に入居者さんが名前を書いて予約するほど楽しみにされているんですよ。去年の夏はスイカが2玉もできました。大きく育ったことに感激してなかなか手をつけられずにいたら、食べようと思った頃には、すでに傷んでいて……。だから今年こそは食べ頃を逃したくないみたいですね。
―本当に皆さん、収穫を楽しみになさっているんですね。
森川さん:もちろん食べるのは楽しみですけど、入居者さんにとってみれば、食べるに至るまでの“育てる”という行為が大切なんだと思います。自分たちの植えた種や苗が芽を出して成長していく姿が傍にあるだけで生きがいにもつながりますから。住まいとデイサービスの施設の通り道に畑があるので、いつも野菜が育つ様子を間近で見て生きることを実感できるのではないかと思うんです。そんな環境が入居者さんのエネルギーにもなっているように感じますね。