■介護が地域に根づいている町、それが上里町です。
▲「上里町社会福祉協議会ヘルパーステーション」が在籍する建物は、もともと上里町役場だったのだとか。
―こちらに到着するまでにお見かけしたのですが、上里町には、介護施設が多いですね。
廣田さん:そうですね。上里町の人口は約3万2千人で高齢化率が16.5%と高齢者の割合が多く、近年は新しい施設が次々と建てられています。今も、上里町の中心地にある神保原駅の近くに有料老人ホームが建設中なんです。高齢者が多いため、皆さん介護を身近に感じておられるのか、この辺りでは老人介護やボランティアへの意識が高いですね。
―このように介護の盛んな地域で、「上里町社会福祉協議会ヘルパーステーション」が提供されているサービスを教えてください。
廣田さん:私たちは、地域に根ざしたサービスを目指しておりますので、町主催の行事参加や推進活動も行っています。具体的には、「高齢者生活援助員派遣事業」・「ボランティア」などに関わらせていただいております。
▲ヘルパーステーションの廊下には、寄付してもらったという車椅子が。
―「高齢者生活援助員派遣事業」・「ボランティア」での活動について、詳しいお話をお願い致します。
廣田さん:まず高齢者「高齢者生活援助員派遣事業」は、将来的に要支援・要介護の状態になる恐れの高い高齢者への支援を目的をした事業です。対象となる方は65歳以上の高齢者で、地域包括支援センターから支援の必要性を認められた方を対象としております。
またヘルパーステーションが直接関わっているわけではないのですが、「ねたきり高齢者等紙オムツ配布事業」や「ハッピーランチサービス」などのボランティア事業を社会福祉協議会として行っております。「ねたきり高齢者等紙オムツ配布事業」は、ねたきりの状態で紙オムツを使用されている希望者に、民生委員さんのご協力によって配布させていただいております。また「ハッピーランチサービス」は一人暮らしの高齢者のお宅に向けたサービスで、希望される方に作りたてのお弁当を民生委員さんがお届けしています。お弁当は月に一度ボランティアの方が作ってくだって、ご好評をいただいております。
それから町が配食サービスを委託している施設は、月曜日~土曜日の1日2食の配食を行う際に、利用者さんの安否確認も行ってくださいます。こうして様々な方の協力がある中で、上里町の高齢者の過ごしやすい街づくりは行われているような気がしますね。
▲ヘルパーさんからの電話を対応中の廣田さん。元銀行員とのことで電話応対の言葉遣いも、とても丁寧だ。
―上里町の高齢者の特徴は?
廣田さん:一人暮らしとご家族で住まわれている方のどちらもいらっしゃいます。高齢者が多いだけに、特に介護に協力的なご家族の姿が見られますね。
私は現在のさいたま市が出身地で10年ほど前に引っ越してきたのですが、あちらでは介護といってもピンと来ない方が多かったように感じます。そんな中で上里町では介護を身近に感じられている方が多いせいか、ご家族が近くに住んでいらっしゃるお宅が目立ちます。家と家を繋げた一本の通路を渡った向こう側には、すぐにご家族がいらっしゃいますから、利用者さん自身も安心して生活なさっているようです。多くのお宅で、ご家族の介護の中心となっているのはお嫁さんですが、お嫁さんが外でお仕事をされているお宅もわりとあります。ですから、働いている時間だけ訪問介護を利用なさるという形をとるなど、皆さん上手に介護サービスを活用なさって息抜きできているように感じます。
―ヘルパーさんは、ご家族の介護の一端を担っておられるんですね。
廣田さん:そうですね。直接、利用者さんやご家族の方と関わらせていただいて、役に立っていると思っていただけたら、本望ですね。そうして、お互いに支え合って元気を与え合えることのできる関係でいたいです。