地域の人たちの想いで出来上がった「らっこ」
愛すべき職場です・・・言い合いもするけれど、助け合い精神もばっちり
デイサービスとヘルパーステーションは駐車場をはさんで隣に存在している。
―田中さんがらっこで働きはじめるきっかけはスカウトだとお聞きしましたが・・・。
そうなんです。福祉公社で働いていた時、私が在宅介護を担当していた利用者さんに対して『デイサービスに出てみたらどう?』と近所の方からアドバイスをもらいました。らっこのデイサービスを紹介され、それならば・・・と、早速利用者さんと見学しに行ったんです。そしたら、その場でスタッフの方から『うちで働かない?』と言われ・・・(笑)。でも、自分の空き時間を利用して働ける福祉公社と、シフトの一員に組み込まれて働くのとでは働き方もずいぶん変わりますよね。だから、その場では判断できずに、断って帰ってきてしまいました。
「らっこ」の基本訪問スタイルは自転車。30分圏内なら全部これで移動してしまうそう。
―一度は無理かな・・・と思った「らっこ」で働き始めた、その理由は何だったのでしょう?
その利用者さんが無事デイサービスに入ることが決まり「あなたがここで働けば利用者さんも落ち着くわよ」と言われ、私自身も利用者さんが安心するなら、と決意したんです。甘い口車に乗せられちゃった感じですかね(笑)。
―それだけ、田中さんにみいだすものがあったんでしょうね。最初はデイサービスの「リビングらっこ」にいらっしゃったとか?
はい。実は訪問や、障害者サービスのヘルパーステーションに異動したのはつい最近のことなんです。やっぱり、外に出たからこそ気づくことっていっぱいありますね。利用者さんがデイサービスに行く気持ちやご家族がそれを利用する気持ち・・・今まで見えなかったことが見えてきたり。だからこそ、私は『なかだけで相撲を取るなよ!』とデイサービスのスタッフにいま伝えている最中です。自分だけが何でも分かっていると思ったら大間違いだと。
会員の人に配られる会報誌など。「らっこ」の歴史がこれを読めばすぐ分かる。
―思ったことを相手に伝える環境が整っているというのもまたステキなことですね。「らっこ」にはデイサービスや訪問だけでなく、障害者サービス、保険外の介護もありますが、お互い違う立場から意見を交わすことってよくあるんですか?
もちろんあります。違うなぁ・・・と思うことがあればすぐ言います。例えば、何ヶ月も前に出たプランに対して「そのプランでいいの? 今は違うよね、見直しが必要だよね」って。じゃあ、どうするかを考えたときに『こうしたい』っていう私なりの将来像があるので、それを相手に分かってもらうためにも、自分が経験したことや思ったことを全て話します。
和気あいあいとした心地よい空気感。帰ってきた人には「おかえり~」とみんなの声がけが。
―何でも言い合える関係なんですね?
仲はすごくいいですね。みんな訪問が終わると、事務所であーでもない、こーでもないってとにかくよく話しています。たまに「うるさい!」って言われるぐらい(笑)。でも、意見し合うことってとっても大事。自分が経験してないことを、仲間が話すことで気づけたりしますし。それに、私は1つの事業所の全員が全員、同じ考えでやっていてはダメだとも思っているんです。サービス提供責任者、管理者、ヘルパーがそれぞれの役割をもって、方向性を変えていかなければいけない。そのことでぶつかるのは当然といえば当然なんですよ。
今日の甘いものの差し入れはドーナッツ。誰かしら甘いものを持ってくるそう。
―じゃあ、時には意見の食い違いでけんかしたりすることも?
言い合いはよくしますよ。自分の経験を総動員したうえで、利用者さんに今までよりもさらによい介護ができると思えた時は、とことん戦います。お互い立場上での妥協はできないと思っているので、折り合いをつけるのが難しいときもありますね。2日ぐらいひきずってることも。でもそんな時はスイーツです(笑)。言い過ぎたと思ったら、甘いものを買って帰ったり・・・。何か食べものがあると、みんなで「これ食べる?」なんて言ってすぐ仲直り。ギスギスなんてしません。それに、助け合い精神もこの職場では当たり前ですね。誰かからヘルプが入れば「私行ってくる!」って。愛すべき人たちばかりなので、続けてこられたっていうのもあります。