障害をもつご利用者さんとのケアを通して
障害はその人の個性! 世間一般のイメージを変えるお手伝いがしたい。
横浜ヘルパーステーション・港南は、ビルの2階にあります。
―今まで取材を通して多くのヘルパーさんに出会いましたが、この業界で、24歳という若さの、しかも男性の方にお会いしたのは初めてです。もともと介護のお仕事に興味があったのですか?
いいえ。この仕事をはじめたきっかけは、看護師である母からの紹介です。最初は本当に軽い気持ちでした(苦笑)。ヘルパー2級の資格をとったのも何となくでしたから。ただ、何か夢中になれる仕事を見つけたい、という強い衝動はあって…。でも見つけられずに旅に出よう、なんて思っていた矢先の声かけでした。
事業所の目の前は線路! 2階からの見晴らしがとてもいい。
―旅!? それはまた大胆ですね。そこからなぜ「やってみよう」と方向転換したんですか?
意味もなくどこかへ行くよりはプラスになるんじゃないかな、と思えたからです。でも、最初は本当にとりあえずやってみよう、という気持ちでしかありませんでした。しかも高齢者が苦手という…。
ご利用者さんと歩調をあわせながら楽しく会話をするヘルパーさん。
―えっ!? なのに介護ですか?
ですよね(苦笑)。実は、その誘いを受ける前に、母の勧めでヘルパー2級の資格を取得していたんです。その際の施設研修で、高齢者が自分の目の前で転倒するというアクシデントがありました。「何でもっと早く対応できなかったんだろう…」とすぐ対応できなかった自分を責め、この仕事は無理なんじゃないかな…と内心思っていたんですよ。でも今回はヘルパー業務ではなく事務だからと聞いて、それならとやることに決めたんですよ。
スタッフが続々と出入りして、活気がある事業所内。
―それが、今や事務からヘルパー、そしてこの事業所をまとめるサービス提供責任者として活躍されているわけですから不思議です。
そうですよね(笑)。今は最高のモチベーションで働けていますが、そんな気持ちになれたのも去年頃からですよ。入社して事務を1年ほど、その後ヘルパー業務もするようになりました。高齢者が苦手といいながら、入った以上そう言い続けるわけにもいきませんから、自分なりに努力をしたつもりです。でも、どうしてもその思いを払拭できず、ある時社長に「高齢者は苦手なんです」と正直に打ち明けたんです。「だったら君は障害者の方を中心にやればいい」と。まさに逆転の発想! その言葉に救われて今があります。普通の会社だったら「苦手なんてグダグダ言ってないでやれ」って言われたんでしょうけれど、そうじゃない道を指し示してくれた社長には感謝しています。
趣味である料理の話になると嬉しそう。田中さんの料理、食べてみたくなります。
―ヘルパーステーション港南では、「高齢者の介護」と「障害者の介護」の2軸が事業母体なんですよね?だから高齢者がダメなら障害者をやればいい、と?
はい。それからは障害者の方の介護をメインでやらせてもらっています。さらに振り返れば、自分が過去に多くの障害者の方と関わりがあったことにも気づきました。小・中学校でクラスメイトに、コンビニでアルバイトしていた時には、聴覚障害の方など多くの障害者が来店されました。だから、自分にとっては意外と身近な存在であり、障害者だからといってそう特別視することでもなかったんです。