栄養士からケアマネージャーへ
畑違いな仕事内容にも自然となじむことができました。
周囲は畑ばかり…夏、秋はたわわに実がなった作物でいっぱいかな?
―豊田さんは、42歳まで病院で栄養士の仕事をされていたとお聞きしましたが…。
20歳で卒業をしてからなので、20年ちょっとですか。その間、町役場の臨時職員など他業務をする時期もありましたので、ずっと…というわけではないです。
にこにこ三豊は一見普通の一軒家。このなかにデイサービスと事業所がある。
―栄養士の仕事とケアマネ―ジャーでは、全く仕事内容も異なると思うのですが、どういった経緯で介護業界に足を踏み入れることになったのでしょう?
介護保険がスタートしたタイミングで、私が栄養士として働いていた病院では、経営上の利点から従業員にケアマネか管理栄養士の資格を取得するよう促す動きがあったんです。私もどちらかを取得してほしい、と言われ、『さて、どうしよう…』と。迷っていたら、周囲の方々が「あなたはケアマネの方が向いているから、受けてみるだけ受けてみなさいよ!」と後押してくださったんです。ならば…と頑張ることに決めました。
まだそこまでパソコンを使いこなせなくて…(苦笑)と豊田さん。
―実際資格を取得されて、栄養士からケアマネージャーのお仕事にうつられたんですよね。
はい。畑違いな内容に資格取得には苦労しましたが、いざケアマネージャーとして働いてみると、違和感なく自然な気持ちで環境に溶け込める自分がいました。それは、資格取得前に週2回ほど伊吹島へデイサービスのお手伝いに行っていた経験があったからかもしれません。
理事の汐見さんと豊田さん2人からは、ほんわか暖かい空気感が流れる。
普段職員がケア中などに心がけたい内容が書かれたものが、壁に貼られている。
―伊吹島ではどんな体験を?
くじらの形をした小さな島で、1日に数本しかない船で行くんです。最初は行かされている感が強かったんですが、島の人々と打ち解けるにつれ、だんだん行くのが楽しくなってきて…。人たちの力強くて温かい人柄にも惚れました。普通の高齢者やご利用者さんなら出来ないと言ってしまうようなことも、島では出来て当然という考え方。だから、車椅子を使うこともなく、皆さん杖を使って何とか歩くわけです。そういった感覚は、やはり島ならではだと思います。私たちはそうした方々のちょっとした不自由をサポートするぐらいで。人間の力強い生命力を垣間見た気がしましたね。通ったのは2年ほどでしたが、そこで過ごした時間が私の根本であり、今では伊吹島が第2のふるさとだと思えるぐらいです。