介護事務からヘルパー業務へ
頼ってほしいから、もっと知識を身につけたいと思う。
ひときわ目立つ黄色いお家が、茶話本舗デイサービスセンター牛久。
―もともとは介護職ではないお仕事をされていたとか?
はい。一番最初は音楽教室の運営や楽器の販売をしていました。数年間本当に忙しい毎日で、ふと…心機一転、違う仕事をしてみたくなったんです。そのとき、『未経験でもできる事務の仕事』で募集していたのが介護保険の事務でした。なので介護に興味があったわけではなく、きっかけはたまたま募集していたからなんですよ。
家の前の花壇に咲く、色とりどりのパンジーがご利用者さんを出迎えてくれます。
―事務の募集で入られて、どのような経緯でヘルパー業務を?
最初は事務のみでした。でもある時、ヘルパーの人手が足りないから現場へ行って! と手伝いに行くことに。オペレーター、看護士、ヘルパーの3名体制での入浴介助だったのですが、知らないことだらけの私は終始バタバタ。ご家族の方がじっと見守るなかでの介助で緊張感もすごく、また慣れない作業ということもあって、とにかく大変でした。人と接するのがこんなにもつらいと感じたのはこの経験がはじめてです。
不思議な光景を発見!茶話本舗の前の木だけなぜか幹にまで葉っぱがぎっしり!
―人と接するのがつらい、とはどんな点で?
ご利用者さんと何を喋ったらいいんだろう?って。その方は寝たきりで体に褥瘡のある重度の方だったので、特にどうしたらいいか分からない、というのもありました。「お風呂に入ってて楽しい! と思えるような介護をしてください」と会社からは言われるものの、「最近どうですか?」といった普通の会話で果たして本当にいいのかな?と常に自問自答ですよね。それは、いまだに自信をもてない部分でもあります。
玄関をあがると、壁にはご利用者さんとスタッフの顔写真が!
―えっ!? 現場経験を何年も重ねられた今でもですか?
おむつ交換などの身体的技術は特に問題ないと思うのですが、精神的ケアともなると、ご利用者さんによって対応が変わっていきますよね。さっきはああ言ってしまったけれど、もっと違う言い方があったんじゃないか? と思いだすとキリがないです。ましてや、相手の方が認知症だと経験だけではものをいえない部分も。かといって知識だけあってもダメなので、勉強しても勉強しても追いつかない感じはありますよね。ただ、最近気付いたのですが、どうやら私は頼られるのが好きみたいで(笑)。「棚井さん、棚井さん」ってご利用者さんが来てくれると、とても嬉しいんです。頼ってほしいからもっと知識を身につけたい…その積み重ねが介護への興味をさらに貪欲なものにし、気付けばヘルパー業務の魅力奥深くに入りこんだ感じでしょうか。
書類作成やモニタリングなども棚井さんの大事なお仕事の1つ。
―では、そのお手伝いがきっかけで、事務からヘルパー業務へシフトされたんですね。前職ではずっと入浴介助をメインで?
最初の3年半は事務とヘルパー業務を兼任していました。その後、ヘルパー業務だけに専念したいと会社にお願いしてからは、訪問と入浴介助を3年半ほど。「気持ちよかった」「一緒にいてくれてありがとう」とにこにこされているご利用者さんの表情を見れば見るほど「やっぱり現場がいい!」となっていきましたね。一方で、上司に厳しく指導される日々でもあり…。怒鳴られ、怒られは日常茶飯事で「今何やった!?」とご利用者さんの見えないところで蹴られたことも(苦笑)。介護に対してとにかく熱い方だったので、本当にしごかれました。でもそれがあったからこそ、今があると思えるので、感謝しています。