高校卒業から介護の道へ
働く姿がキラキラして見えて、こんな風に働けたらいいなと思ったんです。
団地の1階にある高島平介護センター。右隣はドラッグストア。
―専門学校で介護福祉士の資格を取得されたのが介護業界で働くきっかけ、とうかがいました。どういう経緯で資格を取得しようと思われたのですか?
高校2年の時、たまたま近所に住む知り合いのお姉さんが特養で働いていて。「見に来る?」と誘われたので、何の気なしに見学へ行ったのが介護に興味を持った最初のきっかけです。その時、室長さんが学生である私に介護の現状について詳しくお話してくださって。よく分からないながらも心に響くものがあったんですよね。それに、そこで働く方達がキラキラして見えたんです! 大人の女性が人間らしく、協力し合いながら仕事をしている姿がとても眩しく感じられました。思わず「こういう所で働くにはどうしたらいいですか?」と尋ねたところ、「これからは資格の時代だからスキルアップのためにも資格を取得した方がいいよ」とアドバイスをいただいて、専門学校に進むことを決めました。
目の前のグリーン豊かな通りは、桜通り商店街。
―働かれている方に興味が湧いたのですね?
そうですね。大学進学したり、一般職に就く自分は何となくこんな感じかな?と想像できるけれど、介護の仕事って未知というか。どんなだろう?何が学べるんだろう?という純粋な好奇心もあったのかもしれません。あとは、子供の頃両親が共働きで、おばあちゃんに面倒を見てもらっていたので、お年寄りの存在が身近だったのもあります。
スケジュール表はエクセルで作成。見やすいよう色分けも。
―専門学校での2年間はどうでしたか?
グループワークやチームコーチングも頻繁にあって、全然知らない誰かと手を組んで1個のものを作ってみましょうとか。科目ごとのテスト&レポート提出、現場実習などに追われる日々で本当に大変でした。でも今思うと、この時学んだことが今の私を支える核になっているなとも思えるんです。なかでも元看護部長でいらした先生のお話は興味深かったですね。自らの体験談や教科書の内容だけではない現場での応用についても話してくださって、1つの物事に対して厳しく追求する姿勢をそこで学んだ気がします。
ラックには福祉用具や配食サービスなど介護系他事業の資料が。
―なるほど。資格取得という目的以外にも、介護の基本+αの部分も学べた2年間だったのですね。学校卒業後はどうされたのですか?
訪問入浴に力を入れている会社に就職しました。専門学校で浴槽を折りたたんで持ち運べる訪問入浴について知り「画期的!」と感動したことがきっかけです。様々な事情で自宅でお風呂に入れない方たちが、自分の我が家で入れるこのシステムはすごいな、と。でもいざ入社したら、人が足りないという理由で24時間巡回訪問の部署になってしまって。本意でなかったものの、がむしゃらに働く日々が続き…。でもある時、ご利用者さんが亡くなったことを契機に転職を決意し、そこは1年ぐらいで辞めてしまいました。
手前はサ責、奥はケアマネのデスク。ケアマネさんとの連携もばっちり。
事業所内の壁にはご利用者さんが描いた絵画がいくつか飾られている。
―それはどんな理由からですか?
ご利用者さんは私の担当していた方ではなかったのですが、亡くなった経緯に不手際がなかったか問われる場面があったんです。色々な意味で怖いなと感じてしまって。何より、自分が他人の命を預かる責任の重い仕事に携わっていることを再認識した出来事でもありました。そこで今度は『人の死』も含めてトータル的に看れる病院で働きたいと思うようになったのです。