文京区が設置する特別養護老人ホーム「くすのきの郷」が就労資格のないフィリピン人を夜勤に組み入れていた問題で、東京都は十八日、区に対して十一月三十日付けで事業者指定を取り消す処分を行った。後処理のための猶予期間は設けたものの、段階を追った改善指導の手続きを踏まない「一発取り消し」は最も重い処分だ。特養の指定取り消しは全国で初めて。運営は指定管理者として社会福祉法人が行っているが、設置主体である区のサービスに「連座制」が適用され、公設の三カ所の特養、デイを行う八カ所の高齢者在宅サービスセンターも区のサービスとしては来年三月で指定更新ができなくなる。「区立消滅」という大きな影響を残すことになった。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
介護・福祉関連ニュース
老健 医療強化型 --- 来春から報酬改定を前倒し
厚生労働省は二十日、療養病床の転換を推進するために新たな追加支援策の具体的な内容とスケジュールを「介護保険施設等の在り方に関する委員会」で示した。同委員会では医療ケアの必要な人が転換後も引き続き入所できるよう「医療機能強化型」を創設することを検討してきたが、報酬改定を前倒しして来年四月から実施することとした。過去に療養病床に転換した借金を抱えている法人には来年度予算で新しい借換融資制度を創設する方針だ。
医療機能強化型は、夜間・休日の医師・看護師の配置を手厚くした老健。看取りにかかわる医療行為も評価する。通常スケジュールでは、介護報酬への反映は二〇〇九年四月からになるが、転換支援のために一年前倒しする。このほか、診療所の転換を支援するための小規模老健の要件緩和や本体とは異なる種類のサテライト型施設ができるようにする措置も介護報酬の見直しの中で検討し、来年四月から実施。
また、来年四月に予定されている診療報酬改定の議論の中では、診療所に併設された有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅への在宅医療を検討課題に加える。 医療法人が特別養護老人ホームの経営ができるよう老人福祉法の改正を次期通常国会に提出する。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
小規模多機能型居宅介護全国連絡会が発足 --- 理事長に川原秀夫氏
昨年四月に創設された「小規模多機能型居宅介護」の全国規模での事業者連絡会が十六日に発足し、一七〇事業者が参加して設立総会が開かれた(写真)。設立総会では、理事長に選出された川原秀夫きなっせ代表が「全国の事業者と問題を共有し、小規模多機能型ならではのケアの質を高めていきたい」と抱負を述べた。同団体は、サービスの現状についての調査・研究や、各種研修、制度への提言活動を行っていく考えだ。
全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の設立集会には全国一七○事業者・二三○人が参加した。理事長には、川原秀夫氏(きなっせ代表)、副理事に小山剛氏(高齢者総合ケアセンターこぶし園長)、宮島渡氏(アザレアンさなだ施設長)が選出された。
設立集会で基調講演した川尻良夫厚生労働省老健局計画課課長は、制度創設から一年が経ち、全国の指定事業所数も八四〇カ所と順調に増加してきていると報告。「十月からは市町村独自で小規模多機能型の加算を設定できるようになる。事業者と市町村が協力関係を深めて地域に合わせたサービスの発展に努めて欲しい」と期待を述べた。
理事長に選出された川原秀夫氏は、「始まったばかりのサービスで課題や悩みも多い。これまで多機能サービスを提供していた宅老所も、新規に指定事業者となったところも、お互いに問題を共有し、小規模多機能型ならではのケアの質を高めていきたい」と挨拶した。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
訪問介護 雇用管理で改善策厚労省報告書 --- モデル実践事例も
厚生労働省はこのほど、訪問介護事業者が雇用管理の改善を進めていく上で参考となるよう、全国一四四事業所が実際に行っている実践事例をもとに対策のポイントをまとめた。直行・直帰型の登録ヘルパーや非正社員が大半を占めている訪問介護事業では、ヘルパーの稼動の効率化や労働時間の管理、職員間での情報共有、キャリアアップ、賃金設定の仕組みなどさまざまな課題が指摘されている。報告書では、職能級制度を導入してヘルパー自身が能力開発に取り組む意欲を持てるようにしたり、利用者のサービス需要とヘルパーの就労ニーズをマッチングさせるために様々な雇用形態の職員がチームを組んで効率的に対応できるようにするなど、課題解決のための基本的な考え方と具体的な改善策を提案している。
報告書は、同省が設置した雇用管理モデル検討会(座長=佐藤博樹東京大学社会科学研究所教授)がまとめたものだ。ヘルパーの定着率向上や能力開発などに成果を上げている実践事例を全国一四四の訪問介護事業所から集め、「キャリア・コミュニケーション管理」「配置・稼動管理」「労働・賃金管理」「サービス提供責任者の役割と育成」の分野ごとに改善にあたっての基本的な考え方を示した。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
イリスもとまち 生協方式で有料ホーム --- 開かれた経営で理想に挑む
札幌市に昨年九月にオープンした有料老人ホーム「イリスもとまち」は、組合員が事業を共有・運営する「生協方式」で設置された。全国でも初というホーム。運営主体はさっぽろ高齢者福祉生活協同組合。今回の有料ホームが最初の事業だ。社会福祉法人でも株式会社でもNPOでもない組織形態で「開かれた経営」による理想のホーム作りに挑んでいる。
「夫婦で入居したい」という意見を受け、全室個室ユニットケアの計画を変更し、一部に夫婦部屋を設置、食事はプライベートを尊重して決められた時間以外でも提供可能に…。施設の入居前から、入居希望者の意見を取り入れ同ホームが改善してきた内容だ。
施設開所後も、定期的に入居者・家族が参加する運営懇談会を開催。全組合員が議決権を持つ年一回の総会では「料金の設定は適切か」「その日にどの職員がいるのか分かるようにして欲しい」など活発な意見が交わされているという。施設に入居すると居場所がなくなるのを恐れて意見が言いづらくなるのが一般的だが、「間違いがあれば組合員の立場で断固改善を要求する」と断言している入居者がいるのがこのホームの特徴だ。
「私たちも組合員から選出された理事に過ぎない。出資金の額にかかわらず一人一票を持つ総会で間違った方向で経営されていると判断されれば、入居者をはじめとした組合員にクビにされることもある」
運営を担当する理事会も常に「利用者本位」で行動し続けるしかないしくみと河原理事長は笑う。
「イリスもとまち」は、昨年九月にオープンした六五室、七一人の介護付有料老人ホーム。運営しているのは、さっぽろ高齢者福祉生活協同組合。二○○六年七月に設立された福祉生協だ。その最初の事業が有料老人ホーム事業になる。助け合い活動やホームヘルプ、デイなどの在宅介護事業を行う福祉生協は数多くあるが、多額の投資が必要な有料ホーム事業を行う福祉生協は珍しい。
「『自分が決断できるうちに、生涯を任せられる施設に移りたい』という高齢者の声を常々聞いていた。なんとか自分たちの手で生涯にわたる安心を保障できる有料ホームをと考えていた」(河原理事長)
札幌近辺は全国でも高齢者の夫婦のみ、独居世帯の多い地域だという。家族介護の担い手がいない以上、自分で安心して暮らせる終の棲家を見つけなければならない、そんな地域の高齢者の喫緊の課題にまっさきに手を差し伸べたいという考えだ。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
9割は処分「妥当」 コムスン問題で本紙緊急アンケート --- 新ルール厳しすぎも3割
同じ介護業界に身を置く人たちが、コムスン問題をどうとらえているか・・。本紙ではインターネットで緊急アンケートを実施した。厚生労働省が新規指定・更新を認めないと判断したことについて、「処分は当然」が八五%を占めた。 --- もっと読む
半端な知識で”傷口”拡大 コムスン「連座制」を検証 --- 東京のケース 処分逃れは不要
厚生労働省によると、全国監査の結果、虚偽の申請が発覚したのは、五都道府県八事業所。いずれも指定取り消し処分に必要な「聴聞通知」の発出前に事業所の廃止届けを行った。
全国監査のきっかけになった東京都の場合は、聴聞届けを出そうとした当日に廃止届けを持ち込み、あからさまな「処分逃れ」と批判を浴びることになった。 しかし、同社のこうした対応をみると、どこまで法令を熟知していたのかは疑問が残る。
都内で発覚した三事業所の指定申請日はいずれも改正介護保険法が施行された昨年四月より前で、新法の適用外になるからだ。
旧法では、取り消し処分が決定するまでに事業所を廃止すれば、処分はできないだけでなく、新たに事業所をつくるのも自由だ。
これまでは、不正請求の返還をせずに意図的に会社をつぶし、新会社で介護事業に参入することも可能。悪意のある事業所にとっては穴だらけだった。
これを防止するために導入されたのが、新ルールだ。柱は、指定を受ける場合の「欠格事由」を設けたことと、更新制の導入の二つ。指定取り消しも欠格事由の一つで、「連座制」で同一法人の事業所が指定を取り消されれば、新規指定は受けられないし、更新もできなくなった。別法人をつくっての参入を防ぐために、取り消し処分を受けた法人の役員や管理者がいる場合も同様の扱いとなる。
取り消し処分が決定するまでの間に廃止届けを出せば、取り消しを免れるのは改正前と変わらないが、それでも同等の処分ができるよう、「聴聞通知の発出時点」に事業所があれば役員などが規制対象となる。
つまり、旧法が適用される東京都のケースでは「聴聞通知発出」直前の事業所廃止は意味がないものだった。むしろ、悪質事業所のイメージを決定付けるものになったといえる。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
認知症GHに安全対策 --- 改正消防法の政省令公布 消防庁
総務省消防庁は十三日、認知症グループホームなどの小規模福祉施設の防火安全基準を強化する改正消防法の政省令を公布した。これまで消防法上の取り扱いがあいまいだった認知症グループホームや障害者ケアホームなどの小規模な在宅系施設を「社会福祉施設」として位置付け、消火器や自動火災報知機、消防機関への通報設備を全施設に義務付けるとともに、延べ面積二七五平方m以上の施設には一定の条件に該当するものを除いてスプリンクラーの設置も義務化する内容だ。二○○九年四月から施行する。
消防法の改正は昨年一月に長崎県大村市の認知症グループホームで死者七人を出す火災事故が起きたのを受けて進められてきたものだ。改正案について三月にパブリックコメントを実施し、二四件の意見が寄せられた。大きな変更点はなく、当初の案通り認知症グループホームなど小規模施設を含めた新たな防火安全基準を盛り込む。
改正ではまず、消防法上の防火安全対策を行わなければならない社会福祉施設として、特養ホームや老健施設、有料ホームなどに加え、認知症グループホームや障害者自立支援法のケアホーム・グループホームなど小規模な在宅系施設も位置付ける。基本的に通所以外は全て対象になるようにする。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
社会への認知拡大を 全国GH協が大会 --- 質向上へ教育に力
全国認知症グループホーム協会(全国GH協:木川田典彌代表理事)は四日から二日間、札幌市で全国大会を開催し一一○○人が参加した(写真)。全体シンポジウムでは、グループホームの将来像についての意見が交換され、GHの成果に目を向け社会への認知を広げていくことや、ケアの質の向上のために教育に力を入れる必要性が指摘された。一方で、ケアの内容が報酬等で正当に評価されていない現状があると指摘し、協会に国への働きかけを強めるよう求める声もあった。
全体シンポジウムでは、昨年度の法改正を踏まえての今後のグループホームの方向性についての議論が行われた。永田久美子認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹は、「GHの地域での暮らしに近い環境でのケアは、入居者・家族から高く評価されている」と話した。同センターが行った調査では、利用者の家族の九割がケアとGHでの暮らしに満足している結果となっていたという。「課題や問題に目が向きがちだが、GHのケアの成果を社会に発信し理解を得ていくことが大切」と話した。
加藤伸司認知症介護研究・研修仙台センター長は、人材教育のあり方について発言。「ケアの質の向上を目指す上で人材が財産になる。良い人を雇うのが難しい現状があるなら、良い人を内部で育てることが必要」とし、将来への投資のためにも各事業者は人材育成に時間と労力を割くべきと話した。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
人材不足をどうするか --- 他業種人材も視野に 雇用安定へ「常用紹介」
雇用の安定と他業界からの人材調達の二本柱で介護業界の人材不足の解消を図ろうという考えで事業展開しているのがSORA(東京都中央区、齋藤正行社長)だ。雇用安定化のために常勤紹介に注力する。
SORAは、全国にグループホームなど八〇拠点を展開するメディカル・ケア・サービス(さいたま市大宮区、山中一範社長)のグループ会社で、昨年十二月に設立。本格的に事業を開始したのは四月という若い会社だ。
「質の高い介護サービスを継続的に提供するには、人材の安定化が欠かせません」と、同社取締役の藤田聖二氏は語る。常勤雇用を前提とした「紹介」に同社がこだわるのはそうした理由からだ。雇用のミスマッチを防ぐために求職者、事業者双方のカウンセリングを徹底的に行うのは言うまでもない。
ただ、常勤で人材を雇用することは事業者にとっては大きな「賭け」で、失敗すれば大きな痛手だ。そんな悩みを解決するための手段の一つとして同社が推奨するのが「常用目的紹介」。紹介予定派遣ほど知名度は高くないが、二〇〇二年一月に法制化された制度だ。
紹介予定派遣と同様、正規雇用前に該当職員の適性を見極められる「お試し期間」がある。紹介予定派遣では、「お試し期間」中の雇用主は派遣会社になるため、事業者はその間は、職員の勤怠データを派遣会社に送付しなければならないが、「常用目的紹介」は始めから雇用主が事業者なので、そのような事務作業が不要であることもメリットの一つという。
ただ、「『雇用の安定化』だけで解消できるほど介護業界の人手不足は甘くない」(藤田氏)と、同社は異業種で働く人々を介護業界に呼び込むための努力もあわせて行っている。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
コムスン指定停止 著しく不当と判断 --- 来春から事業所漸減も
厚生労働省は六日、訪問介護大手のコムスンの全国監査で新規指定や更新ができない欠格事由に該当する不正があったとし、今後の新規指定や来年四月からの更新を認めないよう都道府県に通知した。同社を巡っては、五都県八事業所で虚偽の申請などにより不正な手段で指定を受けていたことを確認した。いずれのケースも指定取り消し相当だが、処分寸前に事業所を廃止にしており、処分ができないでいた。今回、「不正又は著しく不当な行為」に該当すると判断を示したかたち。 --- もっと読む
医療機関の未収金問題 解決策や徴収義務議論 --- 厚労省検討会が初会合
患者による窓口負担の未払いが急増している問題を受け、厚生労働省は一日、「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長=岩村正彦東京大学教授)の初会合を開催した。病院団体や法学者、自治体、弁護士、支払団体の関係者が参加。解決策のほか、徴収義務の法律上の位置づけ、費用を払わない人に対しても診療を行わなければならない応召義務のあり方を議論する。一~二カ月に一度開催し、半年をめどに結論をまとめる方針だ。 医療機関での未収金については、これまで体系的な調査はなかったが、四病院団体協議会が二〇〇四~〇五年に行った調査で、加盟する五五七〇病院で八五三億円の未収金があることが明らかになった。厚労省の水田邦雄保険局長は「国会でも指摘されるなど、看過できない問題となっている。関係者間で法律的位置づけについて共通認識を持ち、未収金が発生しないための具体策について協力して取り組んでほしい」とあいさつした。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
在宅医療推進会議が発 --- 国立長寿医療センター
高齢者医療の研究や診療、医療者の研修を行っている国立長寿医療センター(愛知県大府市、大島伸一総長)はこのほど、看取りまでを行える在宅医療を推進するための方策を検討・実施する「在宅医療推進会議」を設置した。先月十八日に初会合を開催。これまで在宅医療を推進してきた一九団体の代表が参加。人材養成など四つのテーマについて作業部会を設け検討を行い、半年内に行動計画を策定。国への政策提言を行う方針だ。
会議は日本の年間死亡者数が約一七〇万人となりピークを迎える二〇四〇年に向けて、在宅医療で看取りまでを担える体制を整える方策を検討するのがねらい。大島総長の呼びかけで、日本在宅医学会、在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク、日本ホスピス・在宅ケア研究会、全国在宅医療推進協議会、日本医師会、日本看護協会、日本老年医学会などの代表や有識者がメンバーとして参加。初会合では、検討のポイントの確認で、四つの作業部会が設置された。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
人材育成~現場は今~ --- 全職員で働きやすさ追求 特養ホーム「大塚みどりの郷」
人手不足解消のためには報酬の引き上げによる処遇改善が必要だという声が強いが、「職員が長く働き続けたいと思う要素は職場の中にもまだまだある」と、施設長以下全員参加で働きやすい職場づくりに取り組んでいるのが、東京都文京区にある特養ホーム・大塚みどりの郷(信愛報恩会)だ。新人でも効率よく安心して仕事ができるよう、業務の基本となる手順や役割分担はすべてマニュアル化し、使いやすいようにこまめに見直す。問題が生じればすぐに検討委員会を立ち上げて解決の方法を考えて提案する――。一つひとつの取り組みはとりたてて斬新なことではないが、常に職員間でコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく体制が根付いているところに、働く意欲を支える秘訣があるようだ。
「低賃金で労働条件が悪いから介護の仕事は続かないと言われますが、私はそう思いません。転職で面接に来る人に辞めた理由を聞くと、圧倒的に多いのは、″きちんと仕事を教えてもらえない″″分からないことを相談する人がいなかった″ということ。実は昔からあまり変わっていないのです」 人相手の仕事なのに、職員間でのコミュニケーションが上手くとれないでストレスを抱えてしまう。長続きしないのは仕事の過酷さよりも職場の人間関係のほうに辛さを感じるからだと指摘するのは、施設長の内田千惠子さんだ。「昔から」というのは、実は内田さん自身、介護の仕事に初めて就いた約二○年前に、同じ思いを味わった経験があるからだ。
一九八八年に同施設が開設して間もなく、全く異分野の企業から未経験の介護職員として就職した内田さんは、右も左も分からない新人時代、先輩職員から言われた「介護の仕事は見て覚えるもの」という言葉に大きなカルチャーショックを受けたという。当時は介護業務をマニュアル化している施設のほうが少なかったのかもしれないが、「食事介助もおむつ交換も、決まっているのは『その日に勤務する職員が手分けして行う』ということだけ。これでは新人がついていくのは大変だし、何か事故があった時の責任もあいまいになってしまう。何とか変えたいと強く思いました」。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
あなたの声をください 介護士が希望を失う前に --- ベストライフのCM 「現実」を訴え
「介護の仕事に志をもって入ってきた仲間が去っていきます」「介護制度にあなたの声をください。介護士が希望を失う前に」
業界関係者ならドキリとするようなCMが、今テレビで放送されている。何人かの介護職が画面に現われ、業界の、介護士の「現実」を訴えている。
広告主は、有料老人ホームや高齢者住宅などを全国展開するベストライフ(東京・新宿区)。全国に八七拠点を持ち、入居者四六〇〇人、職員約二五〇〇人を抱える。「明るく、柔らかいイメージ」が定番だった介護会社のCMの中ではかなり異色だ。
「″介護職が集まらない″″仕事が社会的に認められない″というのは業界共通の悩み。でも、行政に物申したいというわけではありません。CMを見た方が″へえ、なんで辞めていくの?″という疑問を感じて、介護の現状に気付いてもらえるきっかけになればと考えています」
企画した同社広報チーフの今岡瑞さんはこう話す。 ターゲットは「一般の人たち」だ。
実際に同社で働く介護職員を登場させた。五月中旬からの放送開始後、一カ月足らずでメールなどで六〇数件の意見が寄せられた。九割がたが業界で働く人や要介護者の家族からだが、「自分たちが思っていたことを代弁してくれた」という声の一方、「大変な仕事は介護だけではない」「余計にマイナスイメージでとられるのでは」といった「苦言」もあるという。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
12県で新たな事業者負担 更新制度導入 --- 手数料有料化、拡大へ
介護保険制度改正で事業所の更新制が今年度から始まるのを機に、これまでは無料だった事務手数料を徴収する動きが広がっている。事務量が増大するというのがその理由だ。本紙の五月三十日現在の聞き取り調査では、九州全県と沖縄、奈良、広島、高知、香川の一二県で新規の指定申請、更新の申請の際に手数料が必要になる。このほか検討中も八県あり、全国に広がりそうな勢いだ。(以下略) --- もっと読む
地域ケア体制整備 医療機関は「様子見」 --- 自治体、見通し立たず
療養病床再編後の受け皿となる地域の医療・介護体制を示す目的で都道府県が策定する地域ケア体制整備構想。厚生労働省は今秋をめどに作成することを求めているが、転換支援策や主な転換先となる老健のあり方が明確にされていない中で「様子見」の医療機関が多く、都道府県は「これでは具体的な計画は立てられない」と困惑顔だ。
「転換意向が未定の医療機関が多い中で、机上だけで作るわけにはいかない」(神奈川県)「作業はしているが、具体的な方向性は見えていない」(埼玉県)「国の支援策が出そろう今月末以降に動く」(千葉県)
首都圏の都道府県の策定状況を聞いたところ返ってきた答えだ。「秋には策定」を求められている長大な計画だが、特に比較的病床数の少ないこれらの地域では構想策定に本腰を入れる段階には至っていないようだ。
東京都は、二三区で今後高齢化が進む豊島、北、板橋、練馬区を含む区西北部圏域を対象にモデルプランを策定した。同圏域は昨年十月時点で療養病床が三三七八床で、六五歳以上人口比では全国平均より四割少なく、介護保険施設の整備も遅れている。
プランを策定した都計画課は「二つのことが見えてきた」と話す。一つは「在宅での療養を支える体制と、いざというときの施設整備もまだまだ両輪で進めていかなければならない」こと。今年度から介護専用型の有料老人ホーム設置への補助制度も設けて、整備促進の方針を示している。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
業務の半分が予防プラン --- 東京社会福祉士会 研究会で調査報告
東京社会福祉士会(丸市豊也会長)は、五月二十七日、都内で研究大会を開催した。地域包括支援センターに勤務する都内の社会福祉士を対象に、昨年十二月実施した実態調査の結果が発表され、社会福祉士も予防プラン業務に時間をとられて権利擁護や総合相談に手が回らない状況が明らかになった。シンポジウムでは「行政による介護予防プラン作成への人員体制整備が必要」との声が相次いだ。
調査は、同会の地域包括支援センター委員会が上智大学総合人間科学部の冷水豊研究室らの協力を得て実施。調査には、都内の包括センター・在宅介護支援センターに配置されている社会福祉士担当職四七五人のうち二二七人が回答。所属するセンターは、担当圏域の高齢者人口が三〇〇〇~七〇〇〇人が最も多く、七〇〇〇人以上も三割に上るなど、三〇〇〇~六〇〇〇人に三職種を最低一人ずつという厚労省の配置基準より手薄なところが多い。
昨年四月から十一月までの業務内訳をみると、「介護予防支援業務」が全体業務の半分近くを占め、総合相談・権利擁護など主に社会福祉士が担うとされている業務割合は三割。専門業務に取り組みたいがままならない状況が浮かびあがった。担当プラン件数が多いほど専門業務の割合が低い傾向も明らかになった。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
フィリピン人介護職 育成で協議会設立へ --- 在日介護士協会 異分野共同し受け皿
日比経済連携協定(EPA)によるフィリピン人看護師・介護士の受け入れが本格的にスタートするのを受け、日本でヘルパーの仕事をしながら暮らしている在日フィリピン人ヘルパーらで組織する「在日フィリピン人介護士協会」(LFCAJ、篠沢ハーミ代表)はこのほど、来日するフィリピン人の生活支援や教育など、早期定着のための支援活動を行う「フィリピン介護人材育成協議会」を設立することを決めた。在日フィリピン人ヘルパーをすでに雇用している病院や介護施設経営者を始め、今後受け入れを検討している施設や人材派遣会社などに対し、協議会への参加と協力を呼びかけている。
協定は昨年九月に首脳間で調印され、今年八月頃までにはフィリピンの国会でも批准が見込まれている。受け入れ側の日本ではすでに厚労省が、六カ月間の語学研修や雇用契約の締結に基づく就労、受け入れ施設の要件などのスキームを示しているが、実際に受け入れる介護現場が行う研修内容や、ケア業務に関する指導などの具体的な中身と方法には決まったマニュアルはなく、各施設の裁量に委ねられている。滞在期間四年のうちに介護福祉士の資格を取らなければならないなど、フィリピン人にとっても日本で働き続けるハードルは低くない。
LFCAJでは、日本で永住権を持ち、ヘルパー養成研修を修了した在日フィリピン人約一七○人が在籍しており、実際に病院や施設で働いている人も大半を占めている。
「外国人労働者を受け入れ、一緒に生活していくということは、介護の専門知識や技術を身に付けるだけでなく、日本の文化や生活習慣に馴染んでもらうことがまず必要。日本での生活と介護の仕事を経験した在日フィリピン人ヘルパーが中心となって受け皿づくりを進めることが、本人たちにとっても受け入れ施設にとっても現実的な支援策になるはず」。同協議会設立準備委員会代表の篠沢純太氏(前在日フィリピン商工会議所会頭)は、協議会設立の主旨をそう話す。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
トップが語るこれからの事業展開 --- 決算説明会から
都内で二〇〇七年三月期決算の各社の決算説明会が相次いで開催され、各社の社長が二〇〇八年三月期以降の事業展開を明らかにした。ニチイ学館、ジャパンケアサービス、ツクイの三社の今後の展開を追った。
高専賃を展開
●ニチイ学館(東京都千代田区、森嶬社長)
二〇〇八年三月期については、各事業部門とも収益性を上げることを最重要視していきたい。最も力を入れたいのが人材確保・育成。一つは昨年から開始している「キャリアアップ制度の見直し」だ。今までは、二つ以上の医療機関での経験がないとキャリアアップの対象とならないなど、勤務地によっては厳しすぎる条件となっており、対象となる人員が当初の見込みを大幅に下回った。これらの条件を見直すことに加えて各種研修の充実もはかっていきたいと考えている。
また、新しいビジネスモデルとして高齢者住宅事業にも参入する。今年の七月に一〇〇%出資子会社ニチイリビングを設立し、高専賃事業、ならびにそれに伴う生活支援サービス、介護サービスの提供などを行う。
第一号案件は来年二月に竣工予定で、事業開始三年目で営業利益ベースでのブレイクイーブン(損益分岐点)を目標としている。
教育支援事業については、今まで以上に費用対効果を考慮する必要はある。
今年の三月二十六日から始めている特化型支店体制もその一つ。各支店単位だったのが、時間・曜日限定のクラス設定、専門性のあるクラス設定などの区分けで担当講師や広告出稿の効率的な配置・展開が可能となった。 東京都の監査については真摯に受け止め、管理体制を強化していく。特定事業所加算の取得は監査終了まで中止することになるだろう。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
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