介護・福祉関連ニュース
雇用管理でモデル事業 未経験者の雇い入れに助成
2008/7/28 厚労省、来年度予算で要求 厚生労働省の「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」(座長=大橋勇策・中央大学大学院教授)は18日、今後の介護労働対策の方向性を盛り込んだ中間報告案をまとめた。これを受けて、厚生労働省は未経験者を雇い入れたときの助成や大都市部での福祉・介護分野に特化したハローワークの新設、雇用管理共同化モデル事業などを来年度予算で要求する方針だ。(以下略)
7割が「人材難」実感
2008/7/28 全国市長会が介護報酬調査 報酬上げは慎重 全国市長会(会長=佐竹敬久秋田市長)はこのほど、介護報酬に関する調査結果を公表した。「介護人材の確保・育成が困難」としている市は7割に上ったものの、そのための介護報酬引き上げには過半数が慎重な姿勢を示した。介護報酬引き上げによる保険財政や利用者への負担増を避けたいという意向の表れだ。個別には、介護予防サービスについては見直しが必要とする意見が多く、介護予防プラン作成については「引き上げる方がよい」が7割で、「6千円に」の案が最多だった。 調査は今年4~5月に実施。市長会の介護保険対策特別委員会などに所属する81市のうち、74市から回答があった。 人材の確保や育成について尋ねたところ、「困難な状況にあり深刻な課題」と回答した市は36・5%。「やや困難だが、事業者の努力で解決できている」が37・8%で、7割強の市が人材確保の難しさを感じていることが分かった。(以下略)
インタビュー 施設の総量規制廃止を
2008/7/28 大胆な発想の転換必要 学習院大学准教授 鈴木亘氏に聞く 規制改革会議の中間まとめでは、在宅と施設の給付額を同じにした上で、施設の供給制限の規制を撤廃すること、ケアマネジメント費用の上乗せ自己負担を徴収するなど「混合介護」の促進を盛り込んだ。規制改革会議の福祉・保育・介護分野のタスク・フォースの専門委員である鈴木亘学習院大学准教授にねらいを聞いた。(以下略)
グループホームケア 周辺症状に改善効果
2008/7/28 全国GH協まとめ 重度認知症に有効 全国認知症グループホーム協会(全国GH協、木川田典彌代表理事)はこのほど、会員施設を対象に実施した2007年度グループホーム事業実態調査結果をまとめた。年間の事業収支差は全体平均でマイナス1・6%の赤字となり、1ユニットの事業所ではマイナス6・3%まで落ち込むなど、先月厚生労働省が発表した経営概況調査よりも厳しい結果となっている。前回の報酬改定で認められるようになった共用型デイサービスや空き部屋を活用したショートステイなどの新規事業も実施割合は前年度を下回り、経営面での効果は期待出来ないとする意見が少なくない。一方、今回初めて行った利用者状況の変化の検証では、要介護4以上の重度者で「抑うつ状態」や「攻撃的な言動」など認知症の周辺症状に高い改善効果が認められたとしており、グループホームケアの有効性を客観的に示すデータになったとしている。(以下略)
人員配置基準の緩和要望へ 開業看護師会が発足
2008/7/28 1人でも訪問看護ステーションを開設できるよう 看護師が1人でも訪問看護ステーションを開設できるようにすることを目指して「日本開業看護師会」が発足。19日、都内で発会記念シンポジウムが開催された。最低2・5人とされている人員基準の緩和を厚生労働省に働きかけていく考えだ。 入院期間の短縮が進められる中、在宅で療養する患者は増えている。在宅医療の担い手として、医師とともに訪問看護の役割は今後ますます重要になるが、量は伸び悩みだ。背景にあるのは慢性的な看護師不足。最近では、病院に7対1看護が導入されたことで、在宅部門から病棟に看護師を引き上げる動きもある。一方でヤル気はあっても、「経営までは荷が重い」と二の足を踏む看護師も少なくない。1人開業はこの需要と供給のギャップを埋めるアイデアでもある。(以下略)
離職率は1・3ポイント増 09年度介護労働実態調査 介護労働安定センター
2008/7/22 介護労働安定センターは14日、07年度介護労働実態調査を公表した。離職率は21・6%で、06年度よりも1・3ポイント増。経営の効率化策として最も多かったのは、給与水準の切り下げなど人件費総額の圧縮で18・5%の事業所があげた。所定内賃金を平均でみると月額21万4900円で微増だが、上がったのは看護師のみでヘルパー、介護職は軒並みダウン。手当てを含めた実質賃金もマイナスだった。「定着率は低くなく困ってはいない」とした「余裕あり」の事業所も66%あったが、今回の調査で最も深刻なのは、働く人への賃金への満足度が下がっていることだ。放置すればさらに状況が悪化することは間違いない。 調査は介護労働者の実態を調べるために毎年実施している。全サービス事業所の4分の1を抽出し、アンケートを郵送、4783事業所が回答を寄せた(回収率28・6%)。調査対象日は昨年10月1日現在。回答事業所に勤める介護労働者の総人数は約11万人で、そのうち3割がヘルパー、4割が施設、デイなどで働く介護職員。 一般の産業と比較して、採用率、離職率ともに高いのが介護労働の特色といえる。07年度調査でも少しかげりは見えるものの採用率は離職率を上回り、就労者数自体は増加している。(以下略)
アセス重視を基本姿勢に
2008/7/22 ケアプラン点検支援マニュアル 厚労省が概要公表 NPO法人日本ホスピス・在宅ケア研究会は12日、千葉市で第16回全国大会を開催し、がん治療の拠点病院に緩和ケア病棟を設置し、時間外や休日の訪問看護費を割増するなどして終末期の患者が誰でも適切な緩和ケアを受けられるようにする「終末期がん難民を生まないための提言」を発表した。 がん難民とは、2005年に初めて開催された「がん患者大集会」などで使われ始めた言葉で、納得できない治療で病院を点々とする患者を表す。がん拠点病院や大学病院ではDPC(診断群分類包括評価)の導入で入院期間の短縮化が強まり、再発後の患者の入院に消極的なところが増えていることから、同研究会は適切な緩和ケアなどが受けられない「終末期がん難民」が増えるのではないかと危機感を表明。(以下略)
ユニットケアで職員「疲弊」
2008/7/22 道老施協調査 質向上へ課題山済み 職員は業務の6割強を三大介護に割いており、8割が「サービスの質が低い」と感じたことがある――。ユニットケア施設の職員が業務に追われて利用者に向き合うことが出来ずに疲弊している実態が北海道老人福祉施設協議会ユニットケア検討委員会(追立正夫委員長)の調査結果から明らかになった。少人数で家庭的なケアを目的に”理想の介護”を実現する一手法として厚生労働省も積極的に推進してきたユニットケアだが、理想と現実のギャップは小さくはないようだ。 調査は同委員会が昨年9月に会員の特別養護老人ホーム313カ所に対して、ユニットケアのメリットとデメリットを明らかにする目的で実施。(以下略)
生むな「終末期がん難民」 拠点病院で緩和ケアを
2008/7/22 日本ホスピス・在宅ケア研が提言 拠点病院で緩和ケアを NPO法人日本ホスピス・在宅ケア研究会は12日、千葉市で第16回全国大会を開催し、がん治療の拠点病院に緩和ケア病棟を設置し、時間外や休日の訪問看護費を割増するなどして終末期の患者が誰でも適切な緩和ケアを受けられるようにする「終末期がん難民を生まないための提言」を発表した。 がん難民とは、2005年に初めて開催された「がん患者大集会」などで使われ始めた言葉で、納得できない治療で病院を点々とする患者を表す。がん拠点病院や大学病院ではDPC(診断群分類包括評価)の導入で入院期間の短縮化が強まり、再発後の患者の入院に消極的なところが増えていることから、同研究会は適切な緩和ケアなどが受けられない「終末期がん難民」が増えるのではないかと危機感を表明。(以下略)
コンプライアンス経営で 基本は3"正"と"適時適切"
2008/7/22 かながわ福祉サービス振興会 セミナーで秘伝を伝授 かながわ福祉サービス振興会(理事長=板橋悟ロイヤルホール社長)は14日、横浜市内で介護事業所のコンプライアンス経営についてのセミナーを開催した。内部監査業務についての企業コンサルタントを行っている戸村智憲日本マネジメント総合研究所理事長は、「難しい条文を暗記したり、内部統制の仕組みを作るなどかたちだけでは機能しない。まずは、正直、正確、正式の3"正"を"適時適切"に行うという原則を徹底することが大切」と秘伝を伝授した。 戸村理事長は、国際連合の職員として内部統制業務を担当するなど国際的な視野も広い内部監査業務のコンサルタントだ。セミナーでは、コムスン事件を一つの経緯として介護業界でも必要性が高まっているコンプライアンス経営について、「ポイントは当たり前のことを当たり前に行うこと。かたちだけを整えても機能しない」と話した。 そう言い切るのは、これまでの一般企業のコンプライアンス経営の失敗事例やいくらやっても社内に根付かない研修の実態を見てきたからという。(以下略)
看護基礎教育は4年制化 厚労省懇談会が方向示す 大学化は3論併記
2008/7/14 厚生労働省の「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」(座長=田中滋慶應義塾大学大学院教授)は7日、看護師養成教育を充実させていくための方策について意見の取りまとめを行った。今後ますます医療の高度化や在宅療養への移行が進む中、チームケアの中核を担う能力を備えた看護職を育成するためには、将来的に4年課程への延長を図る方向性で概ね一致したが、4年制大学を中心とした養成システムに移行するかどうかについては、かえって現場の人手不足に拍車をかける恐れもあるとして反対意見も少なくない。最終的に、大学以外の養成課程についても検討していくなど3論が併記されるかたちとなった。 同懇談会は厚労省医政局長の私的懇談会の位置付けで今年1月に発足した。現在看護師・保健師・助産師を合わせた「看護職」の就業人数は約130万人。厚労省の需給見通しの推計では、これを2010年には140万6千人まで増やすことが必要とされている。一方、免許を持っていても就業していない潜在看護師は55万人と推計。懇談会は看護師の離職や医療事故の防止、在宅で療養する高齢者など長期ケアのニーズが高まることを前提に、約20年先の看護職員に求められる資質や、それを担保する基礎教育のあり方について議論を進めてきた。 (以下略)
ケアマネ報酬で規制改革会議
2008/7/14 利用者負担で上乗せ 中間まとめで提言 政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎日本郵船会長)は2日、年末に予定されている第3次答申の取りまとめに向けた中間まとめを公表した。医療・介護などの社会保障や社会基盤などの7つの重点分野で検討すべき課題を提示。介護分野では、ケアマネジャーの報酬に利用者負担による上乗せを認めたり、在宅と施設とで公的保険から受けるサービス額を同一水準に揃えるなどの提言がされている。今後各省との協議に入る予定だ。 ケアマネ報酬の上乗せについては、事業者がサービスの質改善に向けた工夫に取り組むためには利用者からの評価が正しく対価に反映されるなど介護報酬におけるインセンティブの強化が必要であり、保険内サービスの利用料の自由化を検討すべきと理由を説明。介護保険外の横出しサービスの利用も促進すべきとしている。(以下略)
日本療養病床協会 福岡大会開く
2008/7/14 ケアの質追い求め10年 福岡宣言後の活動報告 拘束廃止でケアの質高まる 日本療養病床協会(会長=武久洋三平成博愛会博愛記念病院理事長)は3日から2日間、福岡市内で16回目の全国研究会を開催した。1998年、同じ会場で、高齢者をベッドに縛ったり、つなぎ服を着せたりする「抑制」をやめる決意をうたった「抑制廃止福岡宣言」以降10年間の取り組みと課題について、宣言を最初に発信した福岡県内の老人病院のスタッフらが報告した。介護保険でも身体拘束が原則禁止され、今では抑制をしないことがケアの向上につながることは現場でも広く知られるようになっている。一方で、そうした質の向上を目指す取り組みが、介護療養病床の廃止方針によって否定されたとする落胆の声もあがった。(以下略)
処遇改善求めて集会 都内のヘルパー団体
2008/7/14 加算でも待遇変わらず 東京医労連、東京社保協、ホームヘルパー全国連絡会などが主宰する「全都ヘルパー集会」が6日、東京都内で開催された(写真)。5月に成立した改正介護保険法を受け、現在厚生労働省では介護職の処遇改善措置やサービス提供責任者の評価について検討を進めている。集会にシンポジストとして参加した同省の担当者は、現時点では特定事業所加算の枠組みの中で対応していく考えであると報告した。これに対し、ヘルパーからは「サービス提供責任だけでなく、多数を占める非常勤や登録型ヘルパーが仕事にやりがいを見いだせるようにすることが重要」「ヘルパーの生活援助で成り立っている在宅の実態を評価してほしい」などの声が上がり、生活援助の報酬アップを求める意見が大半だった。(以下略)
デイで美味しい食事を ひと手間加え 食べやすさと見た目追求
2008/7/14 レストランデイTEA倶楽部成城 自立心芽生える効用も 東京都世田谷区のデイサービス「レストランデイTEA倶楽部成城」(ヘルシーピット、杉本恵子社長)は、ミキサー食や嚥下食は一切作らず、食材や調理方法にひと工夫加え、食べる力の衰えた高齢者に見た目にも美しく食べやすい食事提供に力を入れている。嚥下体操をしなくても、食べる順番に気を遣うことで唾液の分泌が促されて飲み込みやすくなるなど、参考に出来そうな工夫も多い。 七夕間近のある日の昼食。まず最初に出されたのは甘酸っぱいにんじんジュース。前菜はプチトマトのマリネやモロヘイヤ入りの卵焼きの3品だ。口に残りやすい皮は丁寧に剥かれていて、卵焼きにははんぺんを入れてやわらかく仕上げてある。噛み切りやすいだけでなく、口の中でまとまってすんなりと喉を通っていく。この日のメーンは笹寿司。どのメニューも出された瞬間に利用者から「きれいね」と、歓声が沸きあがる。(以下略)
包括センターに連携担当 認知症対応で厚労省 150カ所に人材を配置
2008/7/7 厚生労働省は来年度から、全国150カ所の地域包括支援センターに一定の研修などを修了した「認知症連携担当者」を配置し、認知症に関わる医療と介護の連携体制を強化する方針を決めた。「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトチーム」の論点とりまとめ案で示した。とりまとめは概ね了承。事務局は7月中に報告書をまとめ、来年度予算の概算要求に間に合わせる考えだ。 まとめで示された基本方針では、介護サービスを中心に対応されてきたこれまでの認知症対策について、「認知症の早期の確定診断が的確に行われなかったり、医療と介護の連携が不十分だったために適切な治療や介護が行われなかった例がある」と振り返った上で、今後は早期診断や根治薬の研究開発の加速化とあわせて、確定診断から本人・家族の生活支援に至るまでの施策の流れを確立することが必要としている。 (以下略)
「介護の日」を制定 厚労省
2008/7/7 日付はパブコメで決定 厚生労働省は6月27日、「介護の日」制定に向けた検討会を開催した(写真)。介護についての理解・認識を深めイメージアップを図り、介護人材の確保へつなげていくのが狙い。敬老の日だった9月15日、覚えやすい11月11日などが候補日としてあがっている。意見募集を行った上で、今月27日には決定・発表する予定だ。(以下略)
保険料軽減10月実施へ 来年度財源は「検討中」
2008/7/7 後期高齢者医療運用改善へ担当者会議 厚生労働省は6月26日、後期高齢者医療制度の運営主体である各都道府県広域連合の事務局長らを集め、政府・与党が決定した改善策(表参照)の運用について説明した。低所得者の保険料の軽減策は10月の年金天引きに間に合わせるように8月中には準備を終わらせる強行スケジュールだ。必要となる費用への不安を訴える声が相次いだ。今年度分の対策には国が補正予算で対応する方針を示しているが、来年度からの「恒久対策」の財源は「検討中」とした。(以下略)
働きたい気持ちを支援 若年認知症サポートセンター
2008/7/7 グループが生む力に期待 64歳以下で発症する若年認知症の患者は、全国に4万人以上いるといわれる。近年、若年認知症をテーマにした映画が公開されるなど社会的認知度も上がってきているが、介護保険のデイサービスで若年認知症患者を受け入れているのはまだ少数。アクティビティも高齢者向けで、本人が積極的に行きたがらないことも多い。そうした中、昨年4月に発足したNPO法人若年認知症サポートセンター(理事長=宮永和夫氏)は、若年認知症者の持つ「働きたい」「社会とつながっていたい」思いを尊重する支援をしたいと、就労や社会参加につなぐことを目指した事業を行っている。若年認知症者だけが集うことで、仲間がいる安心感が得られるだけでなく、新しいことに挑戦する意欲も生まれているのを実感しているところだという。(以下略)
体系的な研修の確立が必要
2008/7/7 日本女医会、介護職への「吸引」教育で報告書 指導テキストなど作成 日本女医会(小田泰子会長)はこのほど、2006年度から2年間にわたり取り組んでいた「たんの吸引を安全に実施するための教育講習事業」について最終報告書をまとめた。教育用ビデオや指導マニュアルを独自に作成し、全国8都府県で10回の講習を開催。受講者を対象に実施したアンケートでは、その後吸引を行った人の9割以上が研修が役立ったと評価し、継続的な受講を望んでいることが明らかになったとしている。ヘルパーが吸引を行うためには医師や看護師による指導を受けなければならないが、系統立った研修を行う団体はない。同会では介護職や一般市民に対する医療教育の場を広げていくことが必要だとし、教育プログラムをさまざまな団体に活用してもらいたいとしている。(以下略)